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ボディーガードマニュアル(第3回)

IBAボディーガード訓練

ボディガード・身辺警護・要人警護・SPを目指す方のための…

“BODYGUARD'S MANUAL”
 presented by CCTT & IBA

今号の目次
1.何を守るのか?何から守るのか?
2.警備対象者への脅威

1.何を守るのか?何から守るのか?

「何を守るのか?」「何から守るのか?」
警備計画上最も重要な2事項である。ボディーガードだけではなく、
すべての警備業務で言えることだが、まず、この2つを明確にしなくては
すべてが始まらない。私はボディーガード訓練の際、最初に必ず訓練生に
この2つを質問する。「何を守るのか?」との質問に多くの訓練生は、
「警備対象者の命を守ります」と答える。当然である。だが、実際に
ボディーガードが守るものはそれだけではない。私が卒業したイギリスの
ボディーガード養成機関Task Internationalの教官G.リリー氏は、
「我々が守るべきは、
    警備対象者のライフ(命)とライフスタイル(生活)だ。」

と言う。同じようなことを、元ユーゴスラビア軍特殊部隊員で旧ユーゴス
ラビア共和国大統領を警護した経験を持つ私の友人からも言われた。
「警備対象者のボディー(身体)とフェイス(顔)を守るのが、我々の
仕事だ。」つまり、単に警備対象者のライフ(命)だけを守るのではなく、
警備対象者の生活スタイルや社会的立場などをも守るのが、ボィーガードの
真の役割なのである。

では、何から警備対象者のライフ(命)やライフスタイル(生活)を
守るのだろうか。ほとんどの訓練生は、「危険から守ります。」と答える。
あまりにも漠然とした答えで、これでは具体的な警備計画を立てられない。
危険といっても様々である。警備対象者が、暗殺や誘拐などの危険に
さらされているようであれば、当然それらの危険から守らなくては
ならない。だが、ボディーガードが守るべき危険とは、実は他にも
多種多様なものが存在する。


2.警備対象者への脅威

暗殺や誘拐,拉致など、警備対象者への身体的危害を加える脅威以外にも、
ボディーガードは次のようなものからも警備対象者を守る必要がある。
・熱烈なファン,群集
 芸能人などの有名人を警護する場合、熱烈なファンには本当に
 困らされる。警備対象者に危害を加えようとはしないものの、握手
 した手を離さなかったり、いきなり抱きついてきたり、移動しよう
 にも道をふさいでしまうなど、問題は多々ある。しかし、あくまでも
 警備対象者のファンであるために、下手に手を出すわけにもいかず、
 的確な対応が求められる。
・メディア(マスコミ)
 警備対象者自身がメディアへのアプローチを好む場合は、ボディー
 ガードは、安全が確保できる範囲で警備対象者から離れ、カメラの
 撮影エリアに入らないように配慮することが必要となる。
 逆に、スキャンダルやプライベート行動時等でメディアを嫌がっている
 警備対象者の場合は、カメラとクライアントの間にボディーガードが
 入り込み、警備対象者が撮影されないように配慮する必要がある。
・アクシデント(事故)
 日本では、実際に誰かに襲われることよりも、交通事故を含む様々な
 事故が起こることの方が確率として高いかもしれない。ボディー
 ガードは、当然このような事態に対しても予防する必要がある。
 故障しやすい車を使わない,事故が起きやすい場所をルートに選ばない、
 等の対策のほか、セキュリティードライバーとしてボディーガードが
 運転をする場合には、当然相当な運転技術が求められる。
 また、事故は車での移動中のみ起こるものではない。年配の警備対象者
 の場合、ちょっとした段差につまずいて怪我をしてしまうことも
 ありうる。歩くペースや、路面等に配慮する必要がある場合もある。
・メディカルエマージェンシー(病気,怪我)
 警備対象者が持病をもっている場合などは、それがどのような病気
 なのか,かかりつけの病院はどこか,担当医は誰か,常備薬はある
 のか,常備薬の処方方法は、などの情報を事前に調べておき、万が一
 警護中に持病の発作等が起きても対応できるようにしておく必要が
 ある。また、万が一の怪我等に対応するため、ファーストエイド
 (救急)キットを用意する場合もある。
・はずかしめ
 いまひとつピンとこないと思うので、先のメディアと重なる部分では
 あるが、一つ例を挙げよう。パリでなくなった元英国皇太子妃ダイアナ
 は、以前からパパラッチに追い掛け回されていた。ある時、ダイアナが
 車から降りようとした瞬間、ダイアナの下着がスカートの中から見えて
 しまった。パパラッチはそれを逃さず、一斉にシャッターを切った。
 それに気づいた彼女のボディーガードは、次から、ダイアナが車を
 降りる際は、パパラッチと彼女との間に常に割って入り、ダイアナの
 恥ずかしい写真が撮られないように配慮した。
 「何を守るか?」という箇所で、「警備対象者の社会的立場」という
 ものを挙げた。社会的に著名な警備対象者にとって「はずかしめ」は
 社会的立場を失いかねない要因となりうるのである。
 また、ボディーガードは、警備対象者と長い時間一緒にいることが多い。
 そのため、警備対象者の様々なスキャンダルやトラブルを目の当たりに
 することも多い。それらを守秘することはもちろんのこと、それが
 世の中に知れ渡らないように配慮するのも、ボディーガードの仕事の
 一つである。
・プライバシー
 高度な訓練を受けていないボディーガードを見ていると、常時警備対象者
 にぴったりとついて、いかなる時も寸分も離れないことが多い。
 警備対象者が望んでいる場合は別だが、そうでない場合、他人が四六時中
 ぴったりとそばにいて落ち着ける人間はあまりいない。実際に警備業務に
 ついているボディーガードからたびたび、「警備対象者との距離はどの
 程度で保っていますか」と聞かれる。私は「警備対象者のプライバシー
 が保たれる最短の距離,自分の警備能力でいざという時守りきれる最大の
 距離,その境界線が警備対象者との距離だ。」と答える。
 もちろん、いざという時に警備対象者を守れなくてはならない。
 しかしだからと言って、常に手が届く距離にいる必要はないのである。
 周囲にまったく危険がなく、確実な安全が確保できているのであれば、
 10m以上離れていても問題はないのである。問題は、どれだけ事前に
 危険を予測しているか、その危険に対して準備しているか、いざという
 時の対応ができるか、であって、距離の問題だけではないのである。
 高度な訓練を受けていないボディーガードほど、安全・危険に関わらず
 警備対象者のそばにいたがる。これは、訓練による危機管理ができて
 いないために、自分の警護能力に自信がなく、怖くて距離があけられ
 ないのである。もしくは、単に融通の利かない人物である。もし、
 距離だけの問題なのであれば、警備対象者が安全なホテルの部屋で休む
 際も、ボディーガードは添い寝する必要が出てくるのである。つまり、
 ボディーガードの危機管理能力は本人の警備能力に大きく影響するもの
 であって、警備対象者のプライバシー確保にも大きく影響してくるので
 ある。

この他にも、警備対象者自身や警備対象者を取り巻く環境によって、守る
べきものは随時変わってくる。そしてこれらはすべて、ボディーガードの
判断だけではなく、警備対象者の意思が尊重される必要がある。
ボディーガードの判断だけでは、警備対象者が求める本人のライフスタイル
(生活)は確保できず、逆に警備対象者の言いなりになりすぎて、危機管理
がおろそかになっても、いざという時に守りきれない。警備対象者の要望と
セキュリティーのプロフェッショナルとしてのボディーガードの意見との
バランスポイントを見つけることが大切なのである。
ここに、ボディーガードが守るべき対象が「人」という難しさがある。

次号に続く…


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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)日本代表で、株式会社CCTT代表取締役,
ARMS SECURITY社主席董事の、小山内秀友(おさないひでと)が執筆しております。
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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)並びにイスラエルSITAL INT'L社,
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