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ボディーガードマニュアル(第7回)

IBAボディーガード訓練

ボディガード・身辺警護・要人警護・SPを目指す方のための…

“BODYGUARD'S MANUAL”
 presented by CCTT & IBA

今号の目次
・ボディーガードのマインドセット

ボディーガードのマインドセット

ボディーガードの仕事は、警備対象者のそばで行動することが多い。
高い警備料金を支払い、自らの命と生活を託している警備対象者からして
みれば、当然、ボディーガードに対する評価は厳しいものとなる。ボディー
ガードは、危険などの脅威に対してのみでなく、警備対象者からのこの
ような厳しい評価に対しても、常に気をつかいながら行動する。このような
状況が、長いものでは毎日24時間、数ヶ月〜数年に渡って続くこともある。
どんなに厳しい訓練を受けたボディーガードであっても、この長い時間、
その集中力やモチベーションを維持することは非常に困難である。

ここで必要になるのが、警備中のマインドセットである。警備中は当然、
周囲の状況を観察し、常に様々な起こりうる危険を想定して警備業務に集中
しなくてはならない。しかし、的確なマインドセットができないと、すぐに
疲れて集中力が切れてしまう。そして、このような時にこそ、襲われる
可能性が高いのである。襲撃者が襲撃を実行する際、必ずと言っていいほど
サベイランス(監視行動)を行う。彼らは、ボディーガードの集中力が
切れていることを誰よりも早く気づく。なぜなら、警備対象者を襲撃しよう
とする場合、最も邪魔になるのはボディーガードだからである。ボディー
ガードの集中力が切れて、警備能力が落ちている瞬間を彼らは見逃さず、
警備対象者もしくはボディーガードに対して襲いかかってくるのである。
また、ボディーガードの集中力が切れている状況を見ているのは、襲撃者
だけではない。当然警備対象者も見ている。夜間、部屋前で警備している
ボディーガードに、警備対象者が気をつかって、差し入れを持って出たら、
イスに座ってぐっすり寝っていた、という話しを聞いたことがある。この
ようなボディーガードを見て、警備対象者は安心して眠ることができる
だろうか。当然次の日には、そのボディーガードはクビになっている。また
チームで夜間警備業務にあたる際、交代で睡眠を取る時などに、警備すべき
ボディーガードが寝てしまっていたら、当然チームからの信頼はなくなる。
お互いの信頼関係がない警備チームは当然警備能力が落ちる。前号の最後
にも記載したが、ボディーガードはあらゆる「目」にさらされており、その
「目」を常に意識しなくてはならない。
ボディーガードの仕事に、「ちょっとしたミス」や「ちょっと気が
ゆるんだ」ということはあり得ない。

警備仲間が撃たれたり、警備対象者が誘拐されてしまった後に、後悔しても
取り返しがつかない。私は、訓練生にいつも、「後悔しない警備を」
教える。襲撃された後、「あそこに注意しておけば良かった」「ここに
立っていれば助けられた」などという言葉は、ボディーガードには何の意味
もない。後で考えられることなのであれば、先に考えるべきなのである。
ボディーガードは、普通の人が予測しないようなことを予測し、そのための
準備をする。それが本来の仕事なのである。後悔するようなボディーガード
の仕事などは、存在しないのである。

しかしながら、ボディーガードも「人」である。人の集中力は鍛えても
1時間程度。普通であれば20分程度しかもたない。24時間集中力を維持する
ことはまず不可能に近い。そこで考えられたのが、マインドセットである。
常に緊張感や集中力を最高のレベルにしておいては、当然すぐに疲れて
しまう。そこで、自分自身の中で、心の状態、集中力の状態を4つの段階
(色)に分け、状況にあわせて切り替えていくのである。これは、マインド
セットのカラーコードと呼ばれ、第二次世界大戦時に、アメリカ軍の兵士の
ために、Jeff Copperによって考案されたものである。

A)ホワイト(WHITE)
 周囲に危険がまったくなく、完全に安全な状態。人は、自分自身のこと
 だけを考えていても大丈夫な状態である。
B)イエロー(YELLOW)
 周囲に危険はなく緊張はしていないものの、周囲を意識している状態。
 自分自身や警備対象者を護るべき状態であることは認識しているが、
 いつ、どのように危険が起こるかは明確ではない状態。
C)オレンジ(ORANGE)
 起こりうる危険に対しての手がかりをつかんでおり、その原因に対して
 明確な警戒をしている状態。自分自身や警備対象者を護るべき時である
 ことに気づいただけでなく、相手が誰か明確になっており、防御行動に
 ついての決断を迫られている状況。
D)レッド(RED)
 今まさに危険が起こる瞬間。敵となりうる相手や、防御を必要とする
 相手に対し、すぐに反応できるポジションを取っており、精神面の
 トリガー(引き金)を用意して、すぐに行動できる状態。

カラーコードは4つあるが、警備業務中のボディーガードは、どんなに安全
だと思われる状況においても、マインドセットはイエロー以上でなくては
ならない。状況や環境は常に変化している。今、安全だと判断しても、次の
瞬間状況は変わっている。ボディーガードは、瞬間的で些細な変化にも
気づかなくてはならない。マインドセットをホワイトにしてしまうと、この
微妙な変化に気づかなくなってしまうのである。

後の号でも紹介するが、ボディーガードは常に、警備実行に至る経緯の中で
‐霾鷦集 → 脅威評価 → 7挌計画 → し挌実行
というプロセスを踏んでいる。周囲の状況を観察することで必要な情報を
収集し、その情報を正しく脅威評価することで、自分自身のマインドセット
が可能となる。脅威評価についてもまた後の号で紹介するが、安全な国に
住む日本人は、基本的に脅威評価が甘く、楽観的な傾向がある。夜道を歩く
先に不審な人を見つけても、多くの人は「まさか変な人ではないだろう」と
何の根拠もなく「安全である」という評価してしまうために、その時必要な
マインドセットのレベルを下げ、必要な行動を取らない。そして、襲われて
から驚くのである。当然ながらボディーガードがこれでは話しにならない。
正しい脅威評価ができるからこそ、的確なマインドセットのレベルに設定
することができるのである。いい加減なボディーガードは、一般の人々と
同じく、脅威評価が甘く、楽観的であるために、マインドセットが必要以上
に低く、警備中に居眠りができる。逆に、真面目すぎる新人ボディーガード
は、必要以上にマインドセットを高く設定してしまい、すぐに疲れて集中力
が切れてしまう。自身のことながら、マインドセットとは、以外と難しい
ものなのである。いくらボディーガードとしての技術や知識を身につけて
いたとしても、マインドセットが出来ていなければ、そのボディーガードは
実戦で何の役にも立たないのである。

次号に続く…


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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)日本代表で、株式会社CCTT代表取締役,
ARMS SECURITY社主席董事の、小山内秀友(おさないひでと)が執筆しております。
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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)並びにイスラエルSITAL INT'L社,
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