IBA JAPAN OFFICIAL BLOG

国際ボディーガード協会日本支部 オフィシャルブログ
Administered by CCTT INC.


<< ボディーガードマニュアル(第7回) | main | ボディーガードマニュアル(第9回) >>



ボディーガードマニュアル(第8回)

IBAボディーガード訓練@Thailand

ボディガード・身辺警護・要人警護・SPを目指す方のための…

“BODYGUARD'S MANUAL”
 presented by CCTT & IBA

今号の目次
1.理由(原因)追究の重要性
2.空気を感じる「PINs」

1.理由(原因)追究の重要性

私は、警護訓練に入る新人訓練生に対し、最初に必ず「常に理由・原因の
追究をしなさい」と指導する。例えば、「このイスには、なぜ足が4本ある
のか」「日本の玄関ドアは、なぜ外開きなのか」「あの人は、なぜ携帯電話
を手にしているのか」「なぜここにタバコの吸殻があるのか」など、問題
は何でも良いのである。この世の中に存在する「物」や「人の行動」には
必ずすべてに理由や原因がある。いつも当たりまえだと思っていることにも
実は理由や原因がある。まずは、そういったことに、なぜそうなのか、なぜ
そうなったのか等の疑問を持ち、理由や原因を考えてみる。これを、訓練
時間中だけではなく、日頃の生活の中で意識して考えるのである。一見、
ボディーガードの仕事とは何の関係もないように思えるが、実は、優秀な
ボディーガードと無能なボディーガードとの差は、ここから始まる。日頃
から、あらゆることに対し好奇心や疑問を持ち、その理由や原因を考える癖
をつけておくと、不審な物や不審な人をいち早く見つけることができるよう
になるのである。「あの車は、なぜあの場所に停車しているのか」「あの
男は、なぜあそこに立っているのか」「このカバンは、なぜここに置いて
あるのか」など、警備に必要な鋭い状況観察能力と状況分析能力が養われて
くるのである。また同時に、常に周囲に気を配る癖がついてくる。一般の
人は不審な人が立っていたり、不審な物が置いてあれば、自分はすぐに気が
つけると思っている。しかし意外と気がつかないのである。特に日本人は、
常に安全な環境にいるために、危険に対して異常なほど鈍感である。携帯
電話でメールを打ちながら横断歩道を渡る人をよく見かける。走ってくる車
には全く気を向けず、メールに集中している。なぜこのような行動をする
のか聞いてみると、「日本では歩行者優先なのだから、車が止まるのは当然
でしょう」と答える。一見もっともらしい答えだが、ちょっと考えてみて
もらいたい。歩行者に恨みを持っており、車で轢き殺そうと考えているドラ
イバーならともかく、普通、人を轢きたくて交差点を走るドライバーは
いない。つまり、歩行者優先の社会ではあるが、車で人をはねてしまった
ドライバーの多くは、たまたま気がつかなかった,居眠りをしていた,酒に
酔っていた、など(過失はあるものの)わざと人を轢いた訳ではないので
ある。ドライバーが歩行者に気づいていれば、当然車は停まる。気づかない
から、事故が起こるのである。「歩行者優先」とは、「人が渡っている時は
必ず車が停まる」ということではない。「ドライバーが気づけば停まって
くれる」という程度のことなのである。このように考えれば、交差点横断の
際に、周囲を意識せずにメールを打ちながら歩くということが、いかに危険
な行為であるかが良くわかるはずである。このことからもわかるように、
多くの日本人は、自らの命や安全に対して他力本願なのである。当然、自分
の身すら守れない人間は、他人の命を守るというボディーガードの仕事には
向かない。


2.空気を感じる「PINs」

犯罪に遭遇してしまった人の話を聞くと、多くの人が、「突然カバンを
ひったくられた」「突然抱きつかれた」「突然襲われた」という。本当に
そうだろうか。幽霊ならともかく、生きている人間が突然背後に出現したり
目の前に現れたりすることはまずない。突然犯人に襲われた、と感じた人の
多くは、実は、「犯人が犯行のタイミングをはかっている時には気づいて
おらず、実際に襲われてから相手の存在を知った」という人が多い。つまり
犯人が「誰を」襲おうか、「いつ」襲おうか、「どこで」襲おうか「どう
やって」襲おうか、など犯行(襲撃)に必要な情報収集や襲撃計画を立てて
いる時に、気づいていないのである。相手も人間である以上、少なからず
自分が優位に犯行を実行できるよう、状況を見て、考え、行動する。実は
これは、ボディーガードが警備を実施する過程と酷似している。
‐霾鷦集→犯行手段の評価→H塙垠弉茴と蛤畆孫である。犯罪者が
実際に犯行に及ぶまでには、実は様々な工程を踏んでいる。ボディーガード
の仕事だけではなく、個人が行う危機管理においても、この「実行」の前の
各プロセスにいち早く気づくことが、防犯上重要なのである。このやり方
(アンチ・サベイランス,カウンター・サベイランス等)については、後の
号で説明することにする。

では、犯行の意志を持つ犯罪者と直面してしまった時はどうするのか。まず
相手が本気なのか、威嚇だけなのか、どのタイミングで攻撃をしかけてくる
のか、どのような手段を使って攻撃をしかけてくるのか、等を察する必要が
ある。この段階にくると、さらに相手を観察する能力が求められるように
なる。相手が手に持っているもの、カバンや服の中に隠し持っているもの等
を注意深く観察するのは当然のことで、それ以上に、相手の視線,言動,
口調,立ち方,興奮度,落ち着かない様子等、普通では気がつかないような
小さな情報に気づき、情報収集・分析する。そして、その結果をもとに、
相手が取るだろう行動を予測するのである。経験を積んだボディーガードや
警察官は、不審な人物や物、場所の雰囲気(空気)を感じることができる。
これは、決して勘に頼っているのではなく、犯罪者が発する小さな情報を
収集・分析できている結果である。

Gavin De Beckerは、著書「The Gift OF Fear」の中で、様々な事例を挙げ
ながら、これら事前の小さな兆候のことを「Pre-Incident Indicators;
PINs(ピンズ)」
と呼んでいる。彼は同書の中で「PINsは、結果が予測
される前に起こる、感じ取ることのできる要因だ。はしごの最初の段に脚を
掛けることは、頂上まで行くことの重要なPINsだ。6段目に脚を掛けた場合
はもっと重要になる。人が行うあらゆる事は2度繰り返される(一度は心の
中で、そして一度は実行されて)ので、考えと衝動は行動のPINsだ。」と
述べている。犯罪者も人間である以上、心を持ち感情を持つ。何か行動を
起こそうとする時には、必ずといってよいほど、その雰囲気をかもし出す。
それは本当に小さなことかもしれない。しかし、ボディーガードは、その
ちょっとした雰囲気や空気であるPINsをいち早く察知し、次の行動につな
げることが必要なのである。

「何となく嫌な感じがした」「直感的に危険と感じた」などというボディー
ガードがいるが、そのようなあいまいな警備をしているようでは、お粗末で
ある。この世に「直感」など存在しない。そこには、必ずその感覚を感じた
「何か」が存在し、必ずそこには「根拠」がある。その人が、その根拠を
意識できていないために、「直感」という言葉を使っているだけである。
ボディーガードに求められる能力は、「直感」や「第六感」などではなく、
なぜ、その「直感」を感じたのか、という「根拠を見つける目」である。
ここにも「理由(原因)追求の重要性」がある。

次号に続く…


---
本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)日本代表で、株式会社CCTT代表取締役,
ARMS SECURITY社主席董事の、小山内秀友(おさないひでと)が執筆しております。
本ブログ掲載記事の著作権は全て、株式会社CCTTに属します。リンクフリーですが、
無断コピー,他ブログへの掲載,無断使用や公開等は全て禁じます。
本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)並びにイスラエルSITAL INT'L社,
CAERUS社,香港ARMS SECURITY社の協力のもと、製作されております。


CCTTの身辺警護・要人警護サービス,
プロテクションオフィサー(ボディーガード)訓練へのお問い合わせは…

http://www.cctt.cc/


 Copyright(C) CCTT Inc. & IBA JAPAN. All rights reserved.

posted by IBA JAPAN/CCTT INC. 20:38comments(0)trackbacks(0)


この記事に対するコメント











この記事のトラックバックURL
http://blog.cctt.cc/trackback/641312