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ボディーガードマニュアル(第9回)

IBAボディーガード訓練

ボディガード・身辺警護・要人警護・SPを目指す方のための…

“BODYGUARD'S MANUAL”
 presented by CCTT & IBA

今号の目次
・ボディーガードの外見と「Blending In」

ボディーガードの外見と「Blending In」

「ボディーガード」と言われて、どのような人物を思い浮かべるだろうか。
恐らく多くの人が、ダークスーツに身を包み、耳には無線機のイヤホン、
目にはサングラス、腰にはハンドガン、という男性をイメージするだろう。
もしくは、体が大きく筋肉質な黒人が、ファンを押しのけながら闊歩する
様子を思い浮かべる。確かに、世界中にはこのようなボディーガードも多く
存在する。しかし全てのボディーガードがこの二者ではない。前者は、米国
のシークレットサービスからくるイメージで、後者は、海外のアーティスト
等と一緒にいる、いわゆる用心棒的ボディーガードだ。外見のみで言うと、
他にも、TシャツにGパンといった格好のボディーガードもいれば、一国の
軍隊と同じ服装・装備を持ったボディーガードもいる。ボディーガードは
自分の好みや都合のみで外見をコーディネートするのではなく、常に、警備
対象者と警備対象者の置かれている環境に合わせて、服装や身につけるアク
セサリー、時には髪型から話し方まで、自分自身をコーディネートするので
ある。つまり、ボディーガードだからスーツを着る,ボディーガードだから
無線機を持つ、ということではないのである。企業VIPの警備につく時
など、警備対象者がスーツを着ている環境なのであれば、ボディーガードも
スーツを着る。海外の危険地域に警備対象者が行くのであれば、ボディー
ガードは銃器を所持する、といったように、ボディーガードの外見(服装,
装備等)は、警備対象者毎、環境毎に変化するのである。ボディーガード
とは、常に「警備対象者のいる環境にとけ込む存在」なのである。ここで
重要なのは、単なるファッションとしてボディーガードが服装を選んでいる
訳ではない点である。警備対象者がスーツだからボディーガードもスーツ、
というような単純な理由ではないのである。ビジネスマンである警備対象者
が、例えば取引先に出向く場合、場合によっては、常にそばについている
ボディーガードの服装や身だしなみが原因で、相手に悪い印象を与えて
しまい、結果的に、「こんなボディーガードを雇っているなんて、たいした
ことはないな」と、警備対象者のイメージまで悪くしてしまいかねないので
ある。逆に、例えば、夏のビーチで海水浴を楽しむ警備対象者のそばに、
ダークスーツに身をつつんだボディーガードが立っていたら、警備対象者に
よっては、「融通の利かない堅いやつだ」とか、「逆に目だってしまうじゃ
ないか」と怒り出す場合もある。人は見た目では判断できないが、人は見た
目で判断しやすい。警備対象者やボディーガードをサベイランス(監視
行動)する襲撃者が、ボディーガードの外見を見て、「こいつならやれる」
と判断してしまったら、結果的に、ボディーガード自身が危険をよび寄せた
ことになってしまう。

ボディーガードマニュアル第6回号で、「警備に必要な4つの目」のことを
記した。「警備対象者の目」「襲撃者の目」「周囲の目」「ボディーガード
同士の目」の4つである。ボディーガードは、常にこの4つの目にさらされて
おり、身だしなみ一つで、それぞれからの印象が大きく変わるのである。
そして問題は、その影響が常に、警備対象者にも及んでしまう、ということ
である。ボディーガードに最も必要なものは、臨機応変さである。警備対象
者に合わせて、環境に合わせて、襲撃者に合わせて、常に自分自身の服装や
身だしなみ、態度等を、臨機応変に対応させ、即座に適応することが、
ボディーガードには求められる。以下に、一例として、スーツで警備に
あたる際に注意すべき点を記す。しかし、ここに記されていることが絶対
ではなく、常に、状況に合わせて臨機応変に対応することが大切である。

A)スーツジャケット
 ボディーガードが着るスーツは、ダブルボタンのものではなく、
 シングルボタンのものが多い。通常、ボディーガードは、スーツの
 下(腰の周り等)に、無線機や特殊警棒、状況によってはハンドガン
 等を持っていることがある。これらを外から見えるような状況で携帯
 していると、当然物騒で印象が悪くなるため、多くの警備対象者は
 これを好まない。また、襲撃者に対し、所持している武器の種類や
 数を教えてしまうことにもなり、結果的に襲撃者に有利な情報を与え
 襲撃しやすくさせてしまう。また、使っている無線機の種類や周波数
 を、マスコミ等に教えることになり、警備対象者の行動スケジュール
 等の重要な情報が漏洩する場合もある。そのため、スーツのジャケット
 でこれらを隠すわけだが、当然、いざという時にこれらの道具が即座
 に取り出せなくては意味がない。そのため、ジャケットの前ボタンを
 外していても、身だしなみ的にさほどおかしくはならない、シングル
 ボタンのスーツが良い。常に外している訳ではないが、何か起きそう
 だ、というPINs(前号参照)を察知した場合は、ボタンを外すので
 ある。ベント(ジャケットの切れ目)は、ダブルベント(左右に切れ目
 のあるもの)が良い、という人もいる。ジャケットのボタンを留めて
 おかなくてはならないような状況の時でも、ダブルベントのものだと、
 ベントから武器が取り出せるのである。スーツの色は、やはり暗めの
 色が良い。明るい色はそれだけで目立ってしまい、場合によっては、
 落ち着きがない,いい加減などの印象を与えかねない。スーツのシワ
 や汚れ、フケ等は厳禁である。だらしない,汚い,いい加減など、
 良いイメージはない。どんなに良い警備ができても、VIPはこんな
 ボディーガードをそばには置きたくはない。安物のスーツは避ける。
 ボディーガードをつけるVIPは、社会的立場の高い人が多い。同行
 するボディーガードがあまりにも安物のスーツを着ていると、印象が
 あまり良くない。
B)スーツパンツ
 ジャケットと同色のものが良い。ジャケット同様、シワや汚れには
 注意する。前述したが、警護中、腰には無線機や携帯電話、武器等が
 つく。ベルトはしっかりとしたものを選ぶ。
C)シャツ
 派手な色,柄のものは避ける。白、もしくは薄く色の入った程度の
 ものが良い。アイロンでシワはしっかりとのばしておく。
D)ネクタイ
 シャツ同様、派手な色,柄のものは避ける。ネクタイで首を絞められ
 ないように、引っ張るとすぐに外れるタイプのものもある。
E)靴,靴下
 スーツの場合、スーツに合った靴を選ぶ。磨り減りすぎた靴や、シワ
 だらけの靴、泥などで汚れた靴は避ける。また、カツカツと大きな
 音を立てて歩かないように気をつける。警備中、後ろからカツカツと
 音を立ててついて来られると、警備対象者は、追い立てられている
 ような、落ち着かない印象を受ける。
F)アクセサリー等
 できるだけアクセサリーは身に付けない。高価なアクセサリーを身に
 付けていると、それを狙う強盗をよび寄せてしまう。また、アクセ
 サリーはもちろんのこと、ポケットに入れた小銭,キーホルダー等、
 ジャラジャラと音がするものは持たない。ポケットには、必要以上の
 ものを入れない。中身を落としても、拾っている時間がないことも
 多い。外見で、どこの会社から派遣されているのか、自分の身元が
 すぐにわかるようなバッチ等は基本的に付けない。逆恨み等をかって
 しまった時など、後日被害を受けることもある。

外見について細かいことを述べるときりがないが、ポイントは、「いかに
他人の立場になって考えることができるか」である。ボディーガードである
自分の服装や態度が、警備対象者や襲撃者、周囲の人にどのような印象を
与えるのか等を常に考え、人の立場に立つことで、相手に不快な思いを
させずにすむ。実は、これはボディーガードの仕事である身辺警護すべてに
言える「基礎」となることなのである。警備対象者の立場に立って考える
ことができれば、警備対象者に不快感を与えず、警備対象者の求めるニーズ
に応えることができる。襲撃者の立場に立って考えることができれば、襲撃
者がサベイランス(監視)する場所や方法、時間帯がわかるし、襲撃方法も
予測できる。ボディーガード仲間の立場に立って考えることができれば、
連携の取れたチームワークが可能となる。周囲の人の立場に立って考える
ことができれば、警備対象者への印象や自分たちへの印象を良くすることが
でき、協力を求めることもできるようになる。「人」を守り、「人」から
守ることの多いボディーガードの仕事にとって、「他人の立場に立って考え
られない」ことは、致命傷なのである。

国際ボディーガード協会(IBA;International Bodyguard Association)では
ボディーガードの能力の一つに「Blending In」がある、と教えている。
これは、ボディーガード自身や警備対象者の服装や振る舞い等を、その環境
に「とけ込ませる」ことで、警備対象者の危険を下げる、というもので
ある。PMC(民間軍事会社)が全盛期を迎えていた数年前、イラク等でよく
見かけたのが、スーツを着た警備対象者と、BDU(戦闘服)を着たボディー
ガードの姿である。これでは、警備対象者とボディーガードとの間に服装の
コントラストがはっきりとできてしまい、誰が警備対象者なのか、一目瞭然
となってしまう。つまり、狙撃等されやすくなるのである。(下写真参照)

服装のコントラスト

警備対象者の置かれた脅威の状況によって、民間ボディーガードには、
Seen But NOT Noticedという「Blending In」の能力が求められる
のである。

次号に続く…


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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)日本代表で、株式会社CCTT代表取締役,
ARMS SECURITY社主席董事の、小山内秀友(おさないひでと)が執筆しております。
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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)並びにイスラエルSITAL INT'L社,
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