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ボディーガードマニュアル(第20回)

CCTTプロテクションオフィサー訓練

ボディガード・身辺警護・要人警護・SPを目指す方のための…

“BODYGUARD'S MANUAL”
 presented by CCTT & IBA

今号の目次
“脅威評価 

脅威評価

ボディーガード訓練の中で実技訓練を行っていると、よく訓練生から、どの
位置に立つべきなのか,どのように行動すべきなのか、などの質問をよく
受ける。

身辺警護業務に限らず、すべてのセキュリティーやセーフティーは、必ず
「脅威評価(Threat/Risk Assessment)」によって始まる。ボディーガード
のすべての動きは、この脅威評価により決定されるため、
「警備=脅威評価」と言っても過言ではない。

今号から数回にわたり、「これができなくては、本当のボディーガード
とはいえない」という最も重要な要素「脅威評価」について説明して
いこう。

以前の号において、セキュリティー実施のための3ステージについて説明
したが、ステージ1(情報収集)に次いで行うのが、ステージ2(情報分析
と脅威評価)である。情報収集は、この脅威評価のための準備行動と言って
も良い。
セキュリティーが遅れている日本では、必要な脅威評価が行われないまま
警備を実施する警備会社が未だ大半を占めている。例えば、イベント会場の
警備を依頼された際、警備会社の“営業マン”が会場を下見し、「この広さ
ならば警備員が10名必要ですね」などと言って警備を実施する。この警備
計画の基礎となっている根拠は、「この広さ」というたった1つの情報で
しかなく、その他の情報も評価もない。恐らくここにある根拠は、クライ
アント側が提示した予算と、自社の売上であろう。では、この例を基に
正しい情報収集と脅威評価を行うとどうなるのか、考えてみよう。

.好董璽牽院幣霾鷦集)
 このイベントについてのグランドファイルを作成するため、基礎と
 なる会場の情報(インフォメーション及びインテリジェンス)を
 収集する。
・会場についての情報
 インフォメーション:会場の名称,所在地(住所),代表電話番号,
 FAX番号,広さ,設立年月日,駐車場の位置と規模,周辺地区の
 環境,利用者層,管理会社と管理方法 など
 インテリジェンス:建物の構造,防火設備,非常口,防災センター
 の位置と人材,担当警備会社と警備方法,どのようなイベントに
 使われることが多いのか など
・イベントについての情報
 インフォメーション:イベントの種類,規模,主催者,出席者,
 来訪者,客層及び客数 など
 インテリジェンス:イベントの公開度(どの程度公開されているのか,
 どのような人がイベントについて知っているのか),主催者や出席者
 等の知名度,当日の他イベントの有無,既存警備会社の協力度 など

▲好董璽牽押幣霾麒析,脅威評価)
 ステージ1にて収集した様々な情報を基に、この会場やイベントに
 対して、具体的にどのような脅威(TYPE)が起こりうるのかを考えて
 みる。この段階では、ほんの少しでも起こりうると思われる脅威は、
 とにかく全て列挙してみる。
 例)会場内での火災,地震,停電,飲食店における食中毒,危険人物
 の侵入,会場外での妨害行為,会場内での妨害行為,ファンの殺到,
 会場周辺でのデモ行為や政治集会等,主催者や出席者等への襲撃行為
 や脅迫行為,客同士のトラブル,犯罪者の立てこもり,駐車場での
 交通事故,放火,テロ行為 など


 この際、単純に脅威を羅列するだけではなく、いわゆる「5W1H」
 基づいて一つ一つ考えてみる必要がある。つまり…
 What(何が起こりうるのか),When(いつ起こりうるのか),
 Where(どこで起こりうるのか),Who(誰が起こしうるのか,または
 誰に対して起こりうるのか),Why(なぜ起こりうるのか),
 How(どのように起こりうるのか)
 の6項目について考えるのである。

 次に、列挙したこれらの脅威について、一つずつ、その脅威が起こり
 うる可能性(POSSIBILITY)や現実性,また行為者の能力を判断して
 みる。
 例)飲食店における食中毒:現実性はあるが、飲食店での衛生管理が
 しっかりとできているため、起こりうる可能性は低い など


 次に、この判断を基に、現実的に起こりうる可能性の高い順に脅威を
 並び替え、対処すべき優先順位をつける。これを「Tactical Priority
 (戦略的優先順位)」
と言う。これは、必要の少ないものに
 力を注ぎすぎ、必要なものへの対応がおろそかになる、といったことを
 防ぐために必要な手順で、警備の能力をどこにどの程度注ぐべきかの
 判断につながる。そして、警備員数や配置,巡回経路,装備等が決まる
 のである。
 Tactical Priorityが決まった後、現実性,可能性の高い脅威について
 は、それらが最悪起きてしまった際の、影響や結果,セキュリティー
 対策効果と、対策によって生じるリスク等の結果(CONSEQUENCE)
 を想定する。

セキュリティーに0%と100%はありえない。
全ての脅威に対して、完璧(100%)に警備することなど絶対に不可能
である。しかしだからといって、何もしない(0%)ということがあっても
いけない。レベルの高いセキュリティーとは、100%警備対象を守る、
ということではない。想定される脅威を未然に防ぐため、または起きて
しまった脅威から無事回避するため、自身やチームが出来うる100%の
力を出すことである。

ボディーガードの場合、他の警備とは異なり、警備対象が「モノ」ではなく
「人」である。セキュリティー実施のための各ステージにおいては、基本
的に、先の例にあったイベント会場での手順と同じだが、常に「警備対象
者=人」
へのアプローチが必要となる。

警備対象者に関する情報収集は、内的要素と外的要素とに分けて考えて
みる。内的要素とは、警備対象者自身に関する要素で、外的要素とは、
外部から関わってくる要素である。

‘眦要素
 警備対象者情報:氏名,性別,生年月日,血液型,住所,家族,職業,
 会社での立場,健康状態,趣味,喫煙の有無,社会活動,ルーティーン
 スケジュール,身体的特徴 など
 リスク情報:持病,身体的問題,精神的問題,社会的知名度,政治的
 思想,宗教的思想 など
外的要素
 関係施設情報:自宅,オフィス,所属クラブ,行きつけの店 など
 イベント情報:渡航先の国,イベント,訪問先企業,滞在ホテル,
 利用空港 など
 リスク情報:過去の脅迫暦,解雇した従業員の有無,怨恨を持つ相手の
 存在 など

リスクに関する情報については、過去に起きた脅威現在感じている脅威
これから起こるかもしれないと考えている脅威、といった形で、過去,
現在,未来
とに分け、警備対象者自身や依頼者,関係者などから聞きだす
必要がある。警備上必要なことは、必ず警備対象者や関係者等から聞き
出さなくてはならない。
同じく、警備上必要なことは、ボディーガードから
警備対象者や関係者にしっかりと伝えなくてはならない。


このように収集した情報を分析して、警備対象者の脅威評価を始めるので
ある。

ここまでの脅威評価の方法を、CCTTでは、その頭文字を取って、
「TPC脅威評価法」と呼んでいる。
T=Type(起こりうる脅威のタイプ),
P=Possibility(その脅威が起こる可能性,現実性,能力),
C=Consequence(その脅威が起きた時に想定される影響や結果,セキュ
リティー効果と対策によって生じるリスク)
である。

情報分析と脅威評価をステージ2と呼んでいるが、これらがあってこそ、
次のステージであるセキュリティープラン(警備計画)の立案に入ること
ができ、その後、警備の実施が可能となるのである。

しかし、計画はあくまでも計画であり、現実との差が出ることは多い。
現場で勤務にあたるボディーガードには、計画にとらわれ過ぎない臨機応変
な対応が求められるが、これは、正しい教育と、日々の訓練で養われてくる
ものである。

次号に続く…


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本記事は、IBA(国際ボディーガード協会)日本代表で、株式会社CCTT代表取締役,
ARMS SECURITY社主席董事の、小山内秀友(おさないひでと)が執筆しております。
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- | 2009/02/12 1:15 PM


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